ChatGPTに個人情報を入れても大丈夫?|入れてはいけない情報と、送る前に伏せる方法

顧客へのメールの下書き、問い合わせ履歴の要約、名簿の整理。ChatGPT に頼みたい仕事ほど、氏名や連絡先が混ざっています。「このまま貼っても大丈夫だろうか」と手が止まった経験のある方も多いのではないでしょうか。

この記事は、ChatGPT を仕事で使う方と、社内の生成 AI の利用ルールを決める情シス・総務の方に向けて書いています。入力した情報が ChatGPT の中でどう扱われるか、個人情報保護委員会が何を注意しているか、入れてはいけない情報は何か、どうしても使いたいときにどう伏せるかを順に整理します。

ChatGPT の扱いは、2026 年 10 月 26 日時点で OpenAI の公式サイトとヘルプセンターに書かれている内容だけを書いています。規約は変わることがあるので、使う前に最新の公式ページも確認してください。

結論:個人情報は「入れない」、入れるなら「伏せてから」

  • 個人向けのプラン(Free・Plus・Pro)は、初期設定のままだと入力が学習に使われることがあります。設定の「データコントロール」で学習を停止できます
  • 法人向けのプラン(Business・Enterprise など)は、初期設定で入力を学習に使いません。会社で使うなら法人向けのプランが前提です
  • 学習に使われないプランでも、入力した内容は OpenAI のサーバーに送られて処理されます。「学習しない」は「送られない」ではありません
  • 個人情報保護委員会は 2023 年 6 月、個人情報を含むプロンプトを入れるなら、利用目的の範囲内か、提供元が機械学習に使わないかを十分に確認するよう注意を出しています
  • 実務では、氏名・連絡先・番号類を送る前に伏せるのがいちばん確実です。伏せたままでも、要約や表の整理、文面の下書きなど多くの作業はこなせます

ChatGPTに入力した情報はどう扱われるか

個人向けのプラン(Free・Plus・Pro)

OpenAI のヘルプセンターによると、個人向けのサービス(Free・Plus・Pro)では、入力した内容がモデルの学習に使われることがあります。停止するには、設定の「データコントロール」で「すべての人のためにモデルを改善する」(英語の画面では Improve the model for everyone)をオフにします。オフにすると、それ以降の会話は学習に使われません。保存済みの会話の履歴は残ります。この設定はアカウント全体に適用されます。

履歴に残したくない会話は「一時チャット」も使えます。一時チャットは履歴に保存されず、学習にも使われません。ただし、安全のために最大 30 日間はコピーが保管されることがあると案内されています。

法人向けのプラン(Business・Enterprise など)

OpenAI は ChatGPT Business・Enterprise・Edu と API について、「組織のデータを初期設定ではモデルの学習に使わない」と公式に案内しています。保管期間を組織で決められるプランもあります。

ただし、これは「学習に使わない」という約束です。入力した内容は OpenAI のサーバーで処理されるため、社外のサービスに個人データを渡すことに変わりはありません。社内でどこまで入れてよいかは、別に決めておく必要があります。

個人情報保護委員会の注意喚起(2023年6月)

個人情報保護委員会は 2023 年 6 月 2 日、「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等」を出しました。事業者に向けた注意点は次の 2 つです。

  • 個人情報を含むプロンプトを入力する場合は、特定した利用目的を達成するのに必要な範囲内かどうかを十分に確認すること
  • 本人の同意なく個人データを含むプロンプトを入力し、そのデータが応答の出力以外の目的で扱われると、個人情報保護法に違反する可能性がある。入力する場合は、提供する事業者がそのデータを機械学習に使わないことなどを十分に確認すること

一般の利用者に向けては、入力した個人情報が機械学習に使われ、不正確な内容で出力されるリスクがあること、応答に不正確な個人情報が含まれることがあること、利用規約やプライバシーポリシーを確認したうえで判断することを挙げています。同じ日に、ChatGPT を提供する OpenAI にも、要配慮個人情報の取得や利用目的の通知について注意喚起を行っています。

つまり、「学習に使われない設定にしたか」と「そもそも入れる必要があるか」の両方を確認することが求められています。

ChatGPTに入れてはいけない情報

社内のルールで線を引くときは、次のように分けると判断しやすくなります。

区分 例 考え方
個人を特定できる情報 氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日 原則入れない。必要なら伏せてから
番号・お金に関わる情報 マイナンバー、クレジットカード番号、口座番号 入れない
要配慮個人情報 病歴、信条、犯罪の経歴など 入れない
認証情報 パスワード、API キー、アクセストークン 入れない。漏れたら鍵ごと替える
社外秘の情報 未公開の数字、契約の中身、顧客との取引内容 社内のルールに従う。法人向けのプランが前提

「1 人分なら大丈夫」と考えがちですが、何百行もある名簿や問い合わせ履歴は、貼り付けた本人も中身を全部は見ていません。見落としが起きるのは、たいてい大量にまとめて貼ったときです。

会社として決めておくこと

  • 使ってよいサービスとプランを決める:業務では法人向けのプランを使い、個人のアカウントで業務の情報を扱わない
  • 入れてよい情報の線を決める:上の表のように区分で決め、例を添えて周知する
  • 学習の設定を確認する:個人向けのプランが残る場合は、データコントロールの設定を全員で確認する
  • 入れる前に確認する仕組みを用意する:ルールだけでは、貼り付ける瞬間の見落としは防げません

送る前に個人情報を伏せる方法

手で置き換える

氏名を「A さん」、メールアドレスを「(メール)」のように置き換えてから貼る方法です。ツールは必要ありませんが、件数が多いと時間がかかり、置き換え漏れも起きます。

伏せたままで頼める形にする

要約や表の整理、メールの文面づくりなら、個人情報そのものは必要ないことがほとんどです。「[氏名] さんへのお礼のメール」のように、伏せた形のまま頼めば、AI は文面だけを作ってくれます。仕上げの差し込みは手元で行います。

ブラウザの拡張で、貼り付けた瞬間に確認する

生成 AI のサイトに貼り付けたり添付したりした内容を、送る前に確認して伏せてくれるブラウザの拡張もあります。目視の確認に頼らず、大量の行もまとめて確認できるのが利点です。導入するときは、提供元と、検査のために中身を外へ送るかどうかを確認してください。

送る前の確認を、ブラウザの中で:Samurai App 情報保護

Samurai App の Chrome 拡張「Samurai App 情報保護」は、ChatGPT・Gemini・Claude に文章を貼り付けたりファイルを添付したりしたときに、送る前に中身を確認します。

  • 見つける情報:氏名、メールアドレス、電話番号、住所、生年月日、マイナンバー、クレジットカード番号、口座番号、API キー・トークン、パスワード。氏名は表の見出しや「氏名:」のようなラベルを手がかりに見つけます
  • 選べる対応:やめる、このまま送る、一部マスクして送る、マスクして送る。マスクすると、見つかった箇所が [NAME] や [EMAIL] のような区分名に置き換わります
  • 確認はブラウザの中だけ:AI のモデルは使わず、決まった規則で確認します。中身を検査のために外部へ送ることはありません

伏せたまま送っても、ChatGPT は表の整理や文面の下書きをこなせます。詳しくは 個人情報検出 のページで紹介しています。

出典

関連する機能個人情報の検出と、AI に送る前のマスキング個人情報検出は、AI に送るファイルや文章からメールアドレス・電話番号・マイナンバー・API キーなどをブラウザの中で検出し、マスキングして送れる機能です。モデルは使わず、中身を検査のために外へ送りません。

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