業務マニュアルや社内規程、過去の提案資料が、共有フォルダやチャットの履歴に散らばっていないでしょうか。社内Wikiツールは、こうした社内の情報をページとしてまとめ、検索して見つけられる状態にするためのツールです。ナレッジ共有ツールとも呼ばれ、属人化の防止や引き継ぎ、新しく入った人の教育に使われています。
この記事は、社内Wikiの導入や乗り換えを検討している情シス・総務・経営企画の担当者に向けて、主要な10製品を社内Wikiツール比較の観点で整理したものです。料金と無料プランの条件は、2026年10月20日時点で各社の公式サイトに書かれている値だけを掲載しています。
社内Wikiツールは料金の数え方が製品ごとに大きく違います。ユーザーあたりの月額、人数の枠ごとの定額、閲覧だけの人は無料などの違いがあり、同じ人数でも費用が数倍変わることがあります。比較表とあわせて、料金の数え方の違いも解説します。
結論:目的別のおすすめ
- まず無料で小さく始めたいなら: Confluence(Free は10ユーザーまで)、Kibela(コミュニティは5人まで)、Qast(10名以下のフリープラン)
- 編集する人は少なく、読む人が多いなら: NotePM、Kibela。閲覧だけの人を無料で追加できる枠があります
- エンジニアが多く Markdown で書きたいなら: esa、Qiita Team、DocBase、GROWI.cloud
- Wiki とタスク・データベースを1つにまとめたいなら: Notion
- 開発チームで Jira と一緒に使うなら: Confluence
社内Wikiツールの選び方
誰が書き、誰が探すのかを先に決める
社内Wikiは「入れたのに誰も書かない」「書いてあるのに見つからない」が起きやすいツールです。選ぶ前に、書く人(各部署の担当者か、管理部門か)と探す人(全社員か、特定のチームか)を決めます。書く人が少数で読む人が多い会社と、全員が書く会社では、向いている製品と料金体系が変わります。
書きやすさと編集の方式
社内Wikiの定着は書きやすさで決まります。Markdown で書く製品はエンジニアには書きやすい一方、ITに慣れていない人には見たまま編集できるエディタのほうが向いています。DocBase のように複数の編集モードを持つ製品もあります。テンプレート、スマホからの編集、既存の Word や PDF の取り込みも確認します。
検索のしやすさ
ページが増えるほど、検索の質が重要になります。全文検索の精度、タグやフォルダでの絞り込み、添付ファイルの中身の検索、表記ゆれへの対応を確認します。最近はAIに質問すると社内Wikiの内容から答えを返す機能を持つ製品も増えています。
権限管理と公開範囲
人事や経営の情報まで社内Wikiに置くなら、部署やグループごとに見せる範囲を分けられるかが重要です。ページ単位の権限、ゲストや社外の人との共有、SSO や IP アドレス制限への対応を確認します。SSO や監査ログが上位プランでしか使えない製品も多くあります。
料金の数え方
社内Wikiツールの料金の数え方は、主に次の3つです。
- ユーザーあたりの月額: Notion、Confluence、esa、Kibela など
- 人数の枠ごとの定額: NotePM、DocBase、Qiita Team、GROWI.cloud など
- 見積もり: Qast など
閲覧だけの人を無料で追加できる製品もあるため、「編集する人」と「読むだけの人」の数を分けて試算します。
既存ツールからの移行とエクスポート
すでに別の社内Wikiを使っている場合は、移行のしやすさも比べます。DocBase は esa・Qiita Team・Kibela からのインポートを標準で備えています。将来の乗り換えに備えて、Markdown などの形式でエクスポートできるかも確認しておくと安心です。
社内Wikiツール比較表
| ツール名 | 無料プラン | 有料プランの目安 | 上限人数 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| Notion | あり/外部ゲスト10名まで・2名以上はブロック数に制限 | プラス ¥1,650/メンバー/月(年払い)、¥2,000(月払い) | メンバー課金 | Wiki・データベース・AIを1つに |
| Confluence | あり/10ユーザー・2GBまで | Standard ¥850/ユーザー/月〜(月払い) | Free は10ユーザー | Jira など Atlassian 製品と連携 |
| NotePM | なし(30日間の無料トライアル) | プラン10 ¥5,400/月(税抜) | 編集10人+閲覧30人から | 閲覧だけの人は編集者の3倍まで無料 |
| Kibela | あり/5人・4グループまで | ライト ¥500/人/月(税別) | 有料プランは無制限 | 使わなかった人の分は翌月値引き |
| esa | なし(作成翌々月末まで無料) | ¥500/ユーザー/月(税込) | 制限の記載なし | 書きかけを共有して育てる運用 |
| Qiita Team | なし(無料トライアルあり) | Personal ¥500/月(税込)〜Large ¥15,300/月(税込) | Extra は人数制限なし | 人数の枠ごとの定額 |
| DocBase | なし(30日間の無料トライアル) | スターター ¥1,320/月(税込・3人) | プランごとに1〜30人、それ以上も対応 | 3つの編集モード、他社Wikiからのインポート |
| GROWI.cloud | なし(無料トライアルあり) | スモール ¥8,000/月(税別) | 1アプリ30人〜無制限 | 月額固定、Markdown で書ける |
| Helpfeel Cosense | 個人・非営利のみ無料 | Business ¥1,100/人/月(税込) | メンバー無制限 | ページ同士をリンクでつなぐ |
| Qast | あり/10名以下(AI機能なし) | 要問い合わせ | ID数で契約 | AIによる検索と回答、導入支援あり |
主要ツールの特徴
Notion
ドキュメント・データベース・タスク管理を1つのワークスペースにまとめられるツールです。社内Wikiだけでなく、プロジェクト管理や議事録の置き場としても使われています。料金はメンバーあたりで、プラスは ¥1,650/月(年払い)、月払いは ¥2,000。ビジネスは ¥3,150/月(年払い)、月払いは ¥3,800 で、Notionエージェントや AIミーティングノートを含みます。
フリープランは個人利用向けで、2名以上で使う場合はブロック数に上限があります。ページ履歴もフリーは7日分です。自由度が高い分、ページの置き方や命名のルールを最初に決めておかないと情報が散らばりやすい点に注意が必要です。
Confluence
Atlassian の社内Wikiツールで、Jira と組み合わせて開発チームのドキュメント管理に広く使われています。Free プランは最大10ユーザー・ストレージ2GBまで無料で使えます。有料の Standard はユーザーあたり月額 ¥850 から、Premium は ¥1,640 からです。公式サイトでは人数に応じて単価が変わる見積もりの形で表示されています。
開発チームとそれ以外の部署が同じWikiを使う場合は、スペースの分け方と権限の設計を先に決めておくと運用しやすくなります。
NotePM
国内の社内Wikiツールで、人数の枠ごとの月額定額制です。最小のプラン10は ¥5,400/月(税抜)で、編集できる人10人と閲覧だけの人30人の合計40人、ストレージ100GBまで使えます。プラン25は ¥13,500/月(税抜)、プラン100は ¥54,000/月(税抜)です。閲覧だけの人は編集できる人の3倍まで無料で追加できます。
閲覧だけの人は検索と閲覧ができ、投稿やコメントはできません。マニュアルを一部の担当者が書き、全社員が読む使い方に向いています。30日間の無料トライアルがあり、支払い方法の登録は不要です。
Kibela
5人までの少人数なら「コミュニティ」プランで、基本機能の一部をずっと無料で使えます。有料プランはユーザーあたりの月額(税別)で、ライト ¥500、スタンダード ¥800、エンタープライズ ¥1,500 です。トライアルはライトが14日、スタンダードが1か月、エンタープライズが2か月です。
使わなかったユーザーの分を翌月に値引きする「アクティブ課金」が特徴で、利用が少ない人の分の費用が無駄になりません。閲覧者を無料で追加できる枠もあります。PDF や Word、PowerPoint の取り込みにも対応しています。
esa
料金は ¥500/ユーザー/月(税込)の1本で、すべての機能が含まれます。チームを作成した月の翌々月末まで無料で試せます。記事と添付ファイルのアップロード容量は実質無制限です。教育機関向けの無償プランもあります。
書き途中の記事を「WIP」として共有でき、同時編集のエディタでみんなで記事を育てていく使い方を前提にしています。完成した文書を管理するより、情報を気軽に出していく文化をつくりたいチームに向いています。
Qiita Team
エンジニアコミュニティの Qiita が運営する、社内向けの情報共有サービスです。Qiita のエディタをベースにしており、Markdown でも書けます。人数の枠ごとの定額制で、月額(税込)は Personal(1人)¥500、Micro(〜3人)¥1,520、Small(〜7人)¥4,900、Medium(〜10人)¥7,050、Large(〜17人)¥15,300 です。法人向けの Extra は人数制限がなく、¥15,300 に18人目以降1人あたり ¥720 が加わります。
すべてのプランで投稿数は無制限、ファイル容量は30GBです。IP アドレス制限や請求書払いは Extra だけの機能です。利用人数が100人を超える場合は見積もりになります。
DocBase
国内の社内Wiki・ナレッジ共有ツールで、3つの編集モードで書けるのが特徴です。料金は人数の枠ごとの定額で、パーソナル(1人)¥550/月、スターター(3人)¥1,320/月、ベーシック(10人)¥4,950/月、レギュラー(30人)¥11,000/月です(いずれも税込)。それ以上の人数にも対応しています。
30日間の無料トライアルがあり、クレジットカードの登録なしで全機能を試せます。入力したデータがAIの学習に使われないことを明記しており、SSO や IP 制限はセキュリティパックで利用できます。esa・Qiita Team・Kibela からのインポートを標準で備えています。
GROWI.cloud
Markdown で書けるクラウド型の社内Wikiです。従量課金ではなく月額固定制で、プランごとの上限人数までは料金が変わりません。スモールは ¥8,000/月(税別)で1アプリ30人まで、ミディアムは ¥20,000/月(税別)で1アプリ100人まで・標準3アプリです。
オンプレミス環境への構築を支援するプランや、教育機関向けのアカデミックプランもあります。
Helpfeel Cosense
ページ同士をリンクでつないで知識を広げていく設計の社内Wikiです。無料プランは個人と非営利の用途に限られます。企業向けの BUSINESS は ¥1,100/人/月(税込)で、ページ数・メンバー数は無制限です。最初の100ページまでは無料で試せ、招待したメンバー10人ごとに100ページずつ、最大300ページまで無料の範囲が広がります。
フォルダで分類するより、キーワードのリンクで情報をつなぐ考え方に慣れる必要があります。アイデアや議論のメモを蓄積したいチームに向いています。
Qast
AIによる検索と回答に力を入れたナレッジプラットフォームです。料金プランはプロフェッショナル、プロフェッショナル Plus など3つで、価格は公開されておらず問い合わせが必要です。初期導入費用には初期設計と社内定着の支援が含まれ、500ID以上の導入では専門のコンサルタントが伴走します。
10名以下であれば無料のフリープランを使えますが、AI機能は付いていません。支払いは銀行振込です。社内Wikiを入れても定着しなかった経験があり、運用の支援まで求める企業に向いています。
社内Wikiの料金は「数え方」で大きく変わる
社内Wikiツールの費用を比べるときは、月額の単価だけでなく、料金の数え方をそろえて試算する必要があります。たとえば「編集する人30人・読むだけの人90人」の会社で考えてみます。
- ユーザーあたりの月額の製品: 原則として120人全員が課金の対象になります。閲覧者の無料枠があるかを確認します
- 閲覧者が無料の製品: 編集する30人分の枠で120人が使えることがあります。NotePM は閲覧だけの人を編集者の3倍まで無料で追加できます
- 人数の枠ごとの定額の製品: 上限人数の枠を超えると次のプランに上がるため、人が増える予定があれば1段上のプランで試算します
また、AI機能・SSO・監査ログが上位プランに限られる製品では、必要な機能から逆算してプランを選ぶと、想定より費用が上がることがあります。無料トライアルの間に、実際に使う機能がどのプランに含まれるかを確認しておきます。
社内Wikiを定着させるためのポイント
社内Wikiツールの導入でよくある失敗は、ツールを入れただけで書く人が増えないことです。次の4つを最初に決めておくと定着しやすくなります。
- 最初に掲載する情報を決める: 社内でよく聞かれる質問、入社時の手続き、業務マニュアルなど、読む人が多い情報から始めます
- 書く人と更新の担当を決める: ページごとに担当者を置き、内容が古くなったときに誰が直すかを明確にします
- 置き場所のルールを決める: スペースやフォルダの分け方、ページ名の付け方を最初に決めます
- チャットで聞かれたらWikiのリンクで答える: 同じ質問にはWikiのページを案内する習慣をつくると、書く理由が生まれます
Samurai App という選択肢
Samurai App の「ドキュメント」は、AIエージェントも読み書きする社内Wikiです。見出し・箇条書き・表・コードを行として置き、ページを入れ子にできます。エージェントも人と同じ権限で読み書きし、ページを見ながら作業を頼めます。カンバンボードやキャンバスとも同じ場所でつながります。
料金は会社に1本の基本料と、使用量に応じたクレジットで、人数では増えません。招待できる人数に上限はなく、部署ごとに人をまとめて社内ナレッジを見せる範囲を決められます。金額は料金ページにまとめています。無料トライアルはクレジットカードなしで始められます。社内Wikiを読む人が多く、人数課金の費用が気になる場合の候補になります。
よくある質問
無料で使える社内Wikiツールはありますか?
あります。Confluence の Free プランは最大10ユーザーまで、Kibela のコミュニティプランは5人まで、Qast のフリープランは10名以下で無料で使えます(2026年10月20日時点)。ただし、ストレージや機能に制限があるため、全社で使う場合は有料プランを前提に考えるのが現実的です。
社内Wikiとナレッジ共有ツールの違いは何ですか?
明確な線引きはありません。社内Wikiはページを階層やリンクで整理して蓄積する形を指すことが多く、ナレッジ共有ツールはそれに加えてQ&Aや社内SNSのような投稿の形を含む広い呼び方として使われています。自社が「整理された文書を残したい」のか「質問と回答を気軽に共有したい」のかで、合う製品が変わります。
Notion を社内Wikiとして使うのは向いていますか?
Wiki とタスク管理やデータベースを1つにまとめたい場合には向いています。一方で自由度が高い分、ページの置き方のルールを決めないと情報が散らばりやすくなります。フリープランは2名以上で使うとブロック数に上限があるため、チームで使うならプラス以上を前提に試算してください。
社内Wikiが定着しない原因は何ですか?
多いのは、書く人と更新の担当が決まっていないこと、最初に掲載する情報が少なく読む理由がないこと、チャットや共有フォルダとの使い分けが決まっていないことです。ツール選びと同時に、最初の1か月で掲載するページと担当者を決めておくと定着しやすくなります。
出典
- Notion 料金
- Confluence 料金
- NotePM 料金
- Kibela 料金プラン
- esa 料金
- Qiita Team 料金プラン
- DocBase 料金プラン
- GROWI.cloud 価格・機能
- Helpfeel Cosense 料金
- Qast 料金
料金と仕様は 2026 年 10 月 20 日時点で各社の公式サイトで確認したものです。最新の情報は各社のサイトでご確認ください。