2026 年の後半、「指示を待たずに 24 時間働き続ける AI エージェント」の発表が相次ぎました。OpenAI の dots と Meta の Muse は、アプリを閉じた後も目標に向かって作業を続けます。オープンソースの OpenClaw と Hermes Agent は、自分のパソコンやサーバーで常駐させて使います。並行して、Cloudflare OS や Microsoft の Autopilot のように、こうしたエージェントを会社の権限と規程の中で動かすための基盤も出てきました。
この記事は自律型の AI エージェントを業務に取り入れたい情シス・業務改革・経営企画の担当者に向けて書いています。主要な 6 製品を「個人で使う常駐型」「自分で動かすオープンソース」「組織で使う基盤」の 3 つに分けて比較し、料金、日本で使えるか、承認と権限の仕組みを整理します。
業務自動化ツールやノーコードでエージェントを作る基盤(Copilot Studio、Dify、n8n など)の比較は、AIエージェント比較9選にまとめています。料金と提供状況は、2026 年 10 月 21 日時点で各社の公式サイトに掲載されている内容だけを書いています。
結論:目的別のおすすめ
- ChatGPT を契約していて、自分の仕事を任せ続けたい:OpenAI の dots
- 私生活の用事や予約を任せたい(米国・カナダ在住):Meta の Muse
- 自分のパソコンやサーバーで、好きなモデルを使って常駐させたい:OpenClaw
- 繰り返す作業の手順を、エージェント自身に覚えさせたい:Hermes Agent
- 社内のデータとシステムにつなぐエージェントを、全社員に安全に配布したい:Cloudflare OS
- Microsoft 365 の中で、予定や会議の準備を任せたい:Microsoft の Autopilot
自律型AIエージェントとは
自律型 AI エージェントは、1 回の指示に答えて終わるのではなく、目標を渡すと自分で計画を立て、時間をかけて作業を続ける AI です。この記事で扱う製品には、次の共通点があります。
- 会話を閉じても動き続ける:クラウドや常駐させたプロセスの上で、利用者がいない間も作業を進めます
- チャットから呼べる:Slack、Teams、WhatsApp などから話しかけ、結果もそこへ返ってきます
- 覚えて育つ:会話をまたいで記憶を持ち、利用者の好みや仕事の進め方を学びます
一方で、任せる範囲が広い分、どの操作で人が承認するか、どのデータに触れてよいかを決めておく必要があります。製品ごとの違いが最も大きいのもこの部分です。
自律型AIエージェントの種類
この記事では 6 製品を次の 3 つに分けています。
- 個人で使う常駐型:契約すればすぐ使える、クラウドで動くエージェント(dots、Muse)
- 自分で動かすオープンソース:無料で使え、手元のパソコンや自社のサーバーで常駐させるエージェント(OpenClaw、Hermes Agent)
- 組織で使う基盤:社員が使うエージェントを、会社の権限・承認・記録の仕組みの中で動かす製品(Cloudflare OS、Autopilot)
個人で使う常駐型は手軽ですが、会社として誰が何を任せているかを把握しにくい面があります。オープンソースは自由度が高い反面、運用とセキュリティの設計が自社の担当になります。組織で使う基盤は管理の仕組みが整っていますが、2026 年 10 月時点では、どれも先行提供やアーリーアクセスの段階です。
自律型AIエージェントの選び方
日本で使えるか
発表されたばかりの製品は、提供地域が限られていることがあります。Muse は米国とカナダで提供されていて、提供国に住む人だけが申し込めます。dots は ChatGPT の Pro プランでは欧州経済領域・英国・スイスを除く地域で使えます。導入を検討する前に、自社の拠点で使えるかを確認しましょう。
どこで動き、データがどこに置かれるか
クラウドで動く製品は手間がかからない代わりに、メールや社内の資料が事業者のクラウドを通ります。オープンソースを自社のサーバーで動かせば、データを手元に置けます。ただし、その分の運用は自社で担うことになります。
誰の権限で動くか
エージェントが利用者本人の権限で動くのか、専用の ID を持つのかで、管理の考え方が変わります。退職や異動のときにエージェントの権限も停止できるか、情シスが一覧で把握できるかを確認します。
どの操作で人が承認するか
メールの送信、購入、外部システムの更新など、取り返しのつかない操作の前に人が承認できるかは最重要の確認点です。承認を求める操作を、利用者や管理者が決められるかも見ておきましょう。
費用がどこで決まるか
24 時間動くエージェントは、使っていない時間もモデルの利用料がかかることがあります。オープンソースの製品は本体が無料でも、AI モデルの API 料金とサーバー代は別にかかります。定額のプランに含まれる範囲と、上限を超えたときの扱いを確認しましょう。
自律型AIエージェント比較表
| 製品名 | 種類 | 料金 | 日本で使えるか | 動く場所 | 人の承認 |
|---|---|---|---|---|---|
| OpenAI dots | 個人の常駐型 | ChatGPT の Pro・Business Premium・Enterprise に含まれる | 使える(Pro・Business Premium・Enterprise に順次展開) | OpenAI のクラウド | 操作ごとに「進める・承認を求める・引き継ぐ」を判断。独自のルールも追加できる |
| Meta Muse | 個人の常駐型 | 無料(上限あり)/ Power 月額 $20 / Max 月額 $100 | 使えない(提供は米国・カナダ) | Meta のクラウド(専用の仮想マシン) | メール送信や購入の前に確認。アプリごとに読み取り・書き込みの権限を選ぶ |
| OpenClaw | オープンソース | 無料(MIT ライセンス)。モデルの料金は別 | 使える | 自分のパソコン・サーバー | フルアクセスかサンドボックスかを選ぶ |
| Hermes Agent | オープンソース | 無料(MIT ライセンス)。Nous Portal は月額 $0〜$200 | 使える | 自分のパソコン・サーバー / Nous のクラウド | 公式で確認できず |
| Cloudflare OS | 組織の基盤 | 無料(Apache 2.0)。Cloudflare の利用料とモデルの料金は別 | 使える | 自社の Cloudflare アカウント | 外部サービスごとに、書き込みの前に承認を求められる |
| Microsoft Autopilot | 組織の基盤 | 公式で確認できず | Frontier プログラムの組織で試せる | Microsoft 365 | 機微な操作に人の承認を必須にできる |
主要製品の特徴
OpenAI dots
OpenAI が 2026 年 9 月 29 日に発表した、常駐型のエージェントです。dot ごとにクラウド上の専用のコンピューターとブラウザを持ち、会話の合間も目標に向かって作業を続けます。連絡は ChatGPT のほか、Slack、Teams、通話でも受け取れます。調べものや資料づくりは ChatGPT Work に、ソフトウェア開発は Codex に任せ、その進み具合を dot が見て次の指示を出します。
使えるのは ChatGPT の Pro(Pro 100 / Pro 200 / Pro 500)、Business Premium、Enterprise です。Pro は欧州経済領域・英国・スイスを除く地域が対象で、Business Premium と Enterprise は全世界で順次展開されています。Enterprise では初期状態でオフになっていて、ワークスペースの管理者が有効にします。Free、Go、Plus、Business の標準プランでは使えません。
dot との会話は ChatGPT の利用上限に含まれません。dot が ChatGPT Work や Codex で始めた作業は、それぞれの上限に含まれます。アカウントに影響する操作や情報を共有する前には、dot が「そのまま進める」「承認を求める」「利用者に引き継ぐ」のいずれかを判断します。指示や独自のルールで細かく調整できますが、安全のための決まりは上書きできません。ChatGPT を全社で契約していて、まず担当者の仕事を任せてみたい会社に向いています。
Meta Muse
Meta が 2026 年 9 月 8 日に発表した、個人向けのエージェントです。メールの送信、旅行の予約、フォームの入力、購入などを任せられ、アプリを閉じた後も作業を続けて、承認が必要なときに戻ってきます。iOS・Android・Web のほか、WhatsApp からも話しかけられます。
料金は上限付きの無料枠と、有料の Power(月額 $20、週 5 億 Muse トークン)・Max(月額 $100、週 30 億 Muse トークン)の 3 つです。提供は米国とカナダで、申し込めるのは提供国に住む 18 歳以上の人だけです。2026 年 10 月時点で、日本は提供国に入っていません。
メールの送信や購入の前には、利用者に確認を求めます。つなぐアプリごとに読み取りだけか書き込みも許可するかを選べ、すべての操作の記録を後から確認できます。9 月 29 日には、Shopify・Slack・QuickBooks などとつないで店や事業の運営を任せる「Muse for Small Business」も発表されました。こちらも、公開・送信・支払いの前には必ず承認を求めます。ただし、料金は 1 人ごとの契約で、複数人で使うときに管理者が権限を決める仕組みは公式の発表に書かれていません。私生活の用事を任せる個人向けの製品と考えるのが現実的です。
OpenClaw
自分のパソコンやサーバーで動かす、オープンソースの AI アシスタントです。運営は米国の非営利団体 OpenClaw Foundation で、ライセンスは MIT です。サブスクリプションも有料版もなく、使う AI モデル(Claude、GPT、手元で動かすモデルなど)の料金だけがかかります。Mac・Windows・Linux で動き、データは自分のマシンに残ります。
Slack、WhatsApp、Telegram、Discord など 29 のチャットから呼び出せ、ブラウザ、Gmail、GitHub などを操作します。パソコンの操作を広く任せられる一方で、フルアクセスで動かすかサンドボックスの中に閉じ込めるかは、利用者が選びます。チームで 1 つのゲートウェイを共有する使い方もできます。
2026 年 9 月 29 日には、組織で使うための「OpenClaw Enterprise」が発表されました。複数の組織や部署を分けて動かす仕組み、ガバナンスと監査の機能を持ち、Docker Compose や Kubernetes で自社の環境に置きます。こちらも無料ですが、2026 年 10 月時点では社内での試験運用向けの段階で、1.0 は 2026 年中の公開予定です。Microsoft の Autopilot も OpenClaw を基盤にしています。エンジニアがいて、モデルやデータの置き場所を自分で決めたい会社に向いています。
Hermes Agent
Nous Research が開発する、オープンソースのエージェントです。ライセンスは MIT で、本体は無料です。会話をまたいで記憶を持ち、解決した問題の手順を「スキル」として自分で書き残すので、使うほど仕事が速くなる設計です。デスクトップアプリ(macOS・Windows)のほか、Linux などではターミナルからインストールできます。
CLI、Slack、Telegram、Discord、WhatsApp、Signal、メールから呼び出せ、どこから話しかけても同じ記憶を使います。「毎朝 8 時に売上をまとめて」のような定期の仕事を言葉で登録でき、ゲートウェイが無人で実行します。手元で動かしている場合、停止している間は動作しません。常に動かしておきたいときは、Nous Research のクラウド(Nous Portal)で管理するエージェントを使えます。
モデルの利用料は、Nous Portal のプラン(Free $0、Plus 月額 $20、Super 月額 $100、Ultra 月額 $200)か、ほかのモデル提供元との契約で払います。組織向けには、Nous のインフラで動き、管理者がメンバーの役割と利用上限を決められる「Hermes Business」と、自社のインフラに置き、SSO と SLA が付く「Hermes Enterprise」があります。料金はどちらも公式ページの本文では確認できませんでした。繰り返しの多い仕事の手順を、エージェントに育てさせたい会社に向いています。
Cloudflare OS
Cloudflare が 2026 年 8 月 5 日にオープンソース(Apache 2.0)で公開した、組織のための AI ワークスペースです。社員がブラウザでエージェントと話しながら、社内のデータを使ったアプリやコードを作り、実行し、同僚と共有できます。
エージェントとアプリは、最初は何にもアクセスできない状態で始まります。外部サービスとの間には、サービスごとに「Gatekeeper」という仕組みが入ります。Gatekeeper は認証情報を保持したまま、エージェントには許可した操作だけを示します。書き込みの前に人の承認を求める設定もできます。社員の認証には Cloudflare Access を使い、AI モデルは AI Gateway を通して好きな提供元のものを選べます。モデルの利用量は、人・チーム・アプリごとに把握して予算を決められます。
自社の Cloudflare アカウントへのデプロイは今すぐできます。2026 年 10 月 1 日には、Cloudflare が運用まで引き受けるマネージド版のウェイティングリストを公開し、GitHub のリポジトリへのプルリクエストや、Gmail の下書き・送信にも対応しました。ソフトウェアは無料ですが、Cloudflare の利用料とモデルの料金がかかります。マネージド版の料金は公開されていません。同社はアーリーアクセスとして扱うよう案内しています。全社員にエージェントを配布し、触れてよいデータを会社として決めたい会社に向いています。
Microsoft Autopilot
Microsoft が 2026 年 6 月 2 日に「Microsoft Scout」として発表した、Microsoft 365 の中で常駐するエージェントです。後に Autopilot に名前が変わりました。OpenClaw の技術を基盤にしています。Teams、Outlook、OneDrive、SharePoint のメールや予定、チャットを読み、タイムゾーンをまたぐ会議の日程調整、会議の準備資料づくり、締め切り前の作業時間の確保、止まっている意思決定の指摘などを、指示を待たずに進めます。
エージェントは 1 体ずつ、管理された Microsoft Entra ID を持って動き、共有のアカウントは使いません。アクセスできるのは承認されたリソースと宛先だけで、機微な操作には人の承認を必須にできます。送信や書き込みの前には、Microsoft Purview の秘密度ラベルや情報漏えい対策のポリシーが適用されます。
2026 年 10 月時点では、試験提供の段階です。使うには、Frontier プログラムへの参加、Intune のポリシーの設定、利用への同意が必要です。料金は公開されていません。Microsoft 365 を全社で使っていて、新しい機能を早く試せる体制のある会社に向いています。
自律型AIエージェントを業務で使うときの注意点
動き続けることの費用
24 時間動くエージェントは、待っている間も状況の確認や調べものにモデルを使うことがあります。定額のプランに含まれる範囲と、別に数える作業(dots では Work や Codex の作業)を確認し、最初の 1 か月は利用量を記録しておきましょう。
個人で契約したエージェントと会社のデータ
個人で契約した常駐型のエージェントに会社のメールや資料をつなぐと、情シスが把握できないところで会社のデータが外に出ます。業務で使うなら、会社の契約で使えるか(dots の Business Premium や Enterprise など)、管理者が有効・無効を決められるかを確認してから利用を広げます。
承認の設計
自律型のエージェントは、利用者が見ていない間に操作を進めます。送信・購入・削除・外部への共有は、承認を求める設定にしてから任せましょう。どの操作が承認なしで進んだかを、後から記録で確認できるかも大切です。
導入を失敗しないための進め方
- 任せる仕事を 1 つに絞る:毎朝の集計や会議の準備など、繰り返しがあり、失敗しても取り返しがつく仕事から始めます
- つなぐ範囲を最小にする:最初は読み取りだけを許可し、書き込みは様子を見てから広げます
- 承認を挟む操作を決める:送信・購入・削除・外部への共有は、必ず人が承認するようにします
- 広げる前に管理の仕組みを確認する:部署を増やす前に、権限の設定、記録の残り方、費用の上限を情シスと確認します
Samurai App という選択肢
Samurai App の AI エージェントは、会社で契約して全社員が使う前提で作られています。社内のナレッジやテーブルを読み、ブラウザやつないだ外部サービスを操作して仕事を進めます。毎朝の集計や月末の締めのような繰り返す仕事は、決まった時刻や外部のシステムの合図で自動で動かせ、実行のたびに会話が残ります。Slack・Microsoft Teams・LINE・Chatwork からメンションで呼び出すこともできます。
機微な操作の前には承認カードを出し、承認するまで先へは進みません。扱えるのは、頼んだ人の権限と閲覧できる範囲の中だけです。誰が何を頼み、エージェントが何をしたかは監査ログに残り、SSO(OIDC / SAML)や接続元 IP の制限にも対応しています。使う AI モデルは入力欄で選べ、自社で用意したモデルの API キーを持ち込む(BYOK)こともできます。
料金は、会社に 1 本の基本料と、使用量に応じたクレジットの組み合わせで、招待する人数では増えません。クレジットカード不要の無料トライアルがあります。
よくある質問
自律型 AI エージェントと、これまでの AI エージェントは何が違いますか?
これまでの AI エージェントの多くは、依頼を受けてから作業を始め、終わったら止まります。自律型のエージェントは、目標を渡しておくと、利用者が会話を閉じた後も状況を見て次の作業を判断し、動き続けます。その分、承認と権限の設計がより重要になります。
日本の会社でも使えますか?
OpenClaw、Hermes Agent、Cloudflare OS は、自社で動かせば地域の制限はありません。dots は ChatGPT の Pro・Business Premium・Enterprise で、日本も対象に順次展開されています。Muse は米国とカナダだけで提供されていて、日本からは申し込めません。Microsoft の Autopilot は Frontier プログラムに参加している組織で試せます。
無料で試せますか?
OpenClaw、Hermes Agent、Cloudflare OS は本体が無料です。ただし、AI モデルの利用料と、動かすサーバーやクラウドの費用は別にかかります。Muse には上限付きの無料枠があります。dots は有料プランに含まれる機能です。
24 時間動かしておいて安全ですか?
承認を挟む操作と、つなぐ範囲を決めておけば、リスクは小さくできます。最初は読み取りだけを許可し、送信・購入・削除などは必ず人が承認する設定にして、小さな仕事から試すのが安全です。
出典
- Introducing dots(OpenAI)
- dots(ChatGPT ドキュメント)
- Introducing Muse(Meta)
- About Muse subscriptions(Meta ヘルプ)
- Muse for Small Business(Meta)
- OpenClaw
- OpenClaw Enterprise(OpenClaw ブログ)
- Hermes Agent(Nous Research)
- Hermes Business(Nous Portal)
- Cloudflare OS: an open platform for agents, apps, and work(Cloudflare ブログ)
- Cloudflare OS: your company's agent workspace, managed for you(Cloudflare ブログ)
- Introducing Microsoft Scout(Microsoft)
料金と仕様は 2026 年 10 月 21 日時点で各社の公式サイトで確認したものです。最新の情報は各社のサイトでご確認ください。