文章の下書き、資料の要約、調べものと、生成 AI を仕事で使う場面は一気に増えました。会社として導入を考えるとき、まず気になるのは「入力した社内の情報が AI の学習に使われないか」「誰が何に使っているかを管理できるか」「1 人あたりいくらかかるか」の 3 点ではないでしょうか。
この記事は、生成 AI の導入や利用ルールづくりを担当する情シス・総務・経営企画の方に向けて書いています。ChatGPT・Claude・Gemini・Microsoft 365 Copilot などの法人向け生成 AI を、データの学習利用・管理機能・料金で比較します。「ChatGPT 法人 プラン」で探している方に向けて、個人向けプランと法人向けプランの違いも独立した節で解説します。
料金と仕様は、2026 年 10 月 20 日時点で各社の公式サイトに掲載されている内容だけを書いています。ドル建ての料金は為替換算をせず、元の通貨のまま書いています。公式で確認できなかった値は「公式で確認できず」としています。
結論:目的別のおすすめ
- Microsoft 365 を使っている会社:Microsoft 365 Copilot。Word・Excel・Teams の中で、社内のメールやファイルを踏まえて使えます。まずは追加費用の無い Copilot Chat から試せます
- Google Workspace を使っている会社:Workspace に含まれる Gemini。追加の契約なしで Gmail やドキュメントの中から使えます
- 部署や全社で汎用の AI チャットを配布したい:ChatGPT Business、Claude Team。2 人から契約でき、1 人あたり年払いで月額 $20 から始められます
- 長い文書の読み込みや文章作成、開発での利用が多い:Claude Team / Enterprise
- 出典付きの調べものが中心:Perplexity Enterprise Pro。回答に参照元が付くので、裏付けを確認しやすいツールです
法人向け生成AIの選び方
入力データが学習に使われないか
最初に確認したいのは、入力した内容や生成された結果が、AI モデルの学習に使われるかどうかです。この記事で取り上げた法人向けプランは、どれも「既定で学習に使わない」と公式に書かれています。一方で、同じ会社のサービスでも、個人向けプランは設定によって学習に使われる場合があります。社員が個人のアカウントで業務の情報を入力していないかは、法人プランを入れる前後で必ず確認しておきたい点です。個人情報を入れてよいかの線引きと、送る前に伏せる方法は「ChatGPTに個人情報を入れても大丈夫?」で整理しています。
管理機能(SSO・SCIM・監査ログ)
人数が増えるほど、管理者の仕事は重くなります。シングルサインオン(SSO)があれば社内のアカウントでログインでき、SCIM があれば入社や退職に合わせてアカウントを自動で作成・停止できます。監査ログは、誰がいつ何をしたかを後から確認するために使います。プランによってどこまで使えるかが違い、たとえば Claude は Team プランで SSO が使えますが、SCIM と監査ログは Enterprise プランの機能です。
料金の形(席あたりの定額か、利用量に応じた課金か)
多くのプランは 1 人(1 席)あたりの月額です。ただし、Claude Enterprise は席の料金に加えて利用量に応じた料金がかかります。Microsoft 365 Copilot は Microsoft 365 の契約に追加するアドオンなので、前提となるライセンスの費用も含めて見積もる必要があります。年払いと月払いで単価が違う点も、比べるときに揃えてください。
既存のグループウェアとの連携
社内のメールやファイルを踏まえて答えてほしいなら、普段使っているグループウェアと同じ会社の AI が有利です。Microsoft 365 Copilot は Microsoft 365 の中のデータを、Workspace の Gemini は Gmail やドライブのデータを、本人がアクセスできる範囲で参照します。グループウェアと切り離して汎用の AI チャットとして使うなら、ChatGPT や Claude が候補になります。
最低契約数と使える人数
小さく始めたい場合は、最低契約数を確認してください。ChatGPT Business と Claude Team は 2 人から契約できます。Claude Enterprise は最低 20 席からです。全社に一度に配布するのか、まず一部の部署で試すのかで、選べるプランが変わります。
法人向け生成AI比較表
料金は 1 人(1 席)あたりの月額です。ドル建ての料金は元の通貨のまま書いています。
| サービス・プラン | 学習利用(既定) | 料金の目安 | 最低契約数 | 主な管理機能 / 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| ChatGPT Business | 使わない | Standard 席 年払い $20 / 月払い $25 | 2 席から | SAML SSO / 汎用の AI チャット |
| ChatGPT Enterprise | 使わない | 要問い合わせ | 要問い合わせ | SCIM・権限の細かな設定 / 大企業向け |
| Claude Team | 使わない | Standard 席 年払い $20 / 月払い $25(税別) | 2 人から(150 人まで) | SSO・ドメイン認証 / 長文と文章作成 |
| Claude Enterprise | 使わない | 年払い $20(税別)+ 利用量に応じた料金 | 20 席から | SCIM・監査ログ・ドメインキャプチャ |
| Gemini(Google Workspace に含まれる) | 許可なく使わない | Workspace Business Starter 800 円(税別)から | 公式で確認できず | 管理コンソールでサービスごとに有効化 / Gmail・ドキュメントの中で使う |
| Gemini Enterprise(Business エディション) | 公式で確認できず | $21 から | 公式で確認できず | 30 日間の無料試用 / エージェントを使う業務向け |
| Microsoft 365 Copilot Business | 使わない | 年払い 3,148 円 / 月払い 3,778 円(税抜) | 公式で確認できず | Microsoft 365 のアドオン / Word・Excel・Teams の中で使う |
| Microsoft 365 Copilot Chat | 使わない | 対象の Microsoft 365 プランに追加費用なしで含まれる | 公式で確認できず | 仕事用アカウントでサインインして使う |
| Perplexity Enterprise Pro | 使わない | 月払い $40 / 年払い 1 席 $400 | 公式で確認できず | 出典付きの検索と回答 |
主要ツールの特徴
ChatGPT Business / Enterprise
OpenAI の ChatGPT の法人向けプランです。Business(旧 Team)は 2 席から契約でき、Standard 席は 1 人あたり年払いで月額 $20、月払いで月額 $25 です。利用量の多い人向けの Premium 席は年払いで月額 $100、月払いで月額 $125 で、Standard 席と組み合わせて契約できます。Business と Enterprise のデータは、既定では学習に使われないと公式に書かれています。Business でも SAML SSO は使えますが、SCIM によるアカウントの自動連携は Enterprise の機能です。Enterprise の料金は公開されていません。部署単位で汎用の AI チャットを配布したい会社に向きます。全社展開でアカウント管理を自動化したいなら、Enterprise を前提に相談することになります。
Claude Team / Enterprise
Anthropic の Claude の法人向けプランです。Team は 2〜150 人向けで、Standard 席は 1 席あたり年払いで月額 $20、月払いで月額 $25(税別)です。利用量の多い人向けの Premium 席は年払いで月額 $100、月払いで月額 $125 です。Enterprise は 1 席あたり年払いで月額 $20 に、API の料金に応じた利用量の課金が加わります。最低 20 席からで、年払いのみです。Team と Enterprise のデータは既定で学習に使われません。Team でも SSO とドメイン認証が使え、SCIM・監査ログ・ドメインキャプチャは Enterprise の機能です。長い文書を読み込ませる作業や文章作成、開発に使いたい会社に向きます。
Gemini(Google Workspace)
Google Workspace の法人プランには Gemini が含まれ、Gmail・ドキュメント・Meet などの中から使えます。Workspace の料金は 1 人あたり月額で、Business Starter が 800 円、Business Standard が 1,600 円、Business Plus が 2,500 円(いずれも税別)です。Business Starter は Gemini の使える範囲が一部に限られます。Workspace は、顧客の許可や指示なしに顧客データをモデルの学習に使わないと公式に書いています。管理者はサービスごとに Gemini を有効・無効にでき、会話の保持期間も設定できます。Google Workspace を使っている会社なら、追加の契約なしで始められるのが利点です。
Gemini Enterprise
Google Cloud が提供する、業務向けのエージェントを使うためのサービスです。Business エディションは 1 席あたり月額 $21 からで、30 日間の無料試用があります。上位の Standard と Plus エディションの料金は、営業への問い合わせです。データの学習利用については、この記事の調査では公式ページで確認できませんでした。契約前に Google Cloud の規約で確認してください。社内のデータとつないで、エージェントに業務を任せたい会社に向きます。
Microsoft 365 Copilot
Microsoft 365 の Word・Excel・PowerPoint・Teams などの中で使える AI です。Copilot Business は Microsoft 365 の対象プランに追加するアドオンで、1 人あたり年払いで月額 3,148 円、月払いで月額 3,778 円(いずれも税抜)です。2026 年 12 月 31 日までは、初年度の年払いが月額 2,698 円になるキャンペーンがあります。Business Standard と Copilot Business をセットにしたプランは、年払いで月額 3,523 円(税抜)です。プロンプトと応答は基盤モデルの学習に使われないと公式に書かれています。対象の Microsoft 365 プランを使っていれば、Copilot Chat は追加費用なしで使えます。大企業向けの Microsoft 365 Copilot の料金は、今回確認したページには掲載されていませんでした。
Perplexity Enterprise Pro
Web の情報を検索し、出典付きで答えることに強みを持つ AI 検索サービスです。Enterprise Pro は 1 席あたり月払いで月額 $40、年払いで年額 $400 です。公式のヘルプでは、データを学習に使わないと書かれています。市場調査や競合調査など、根拠を確認しながら調べものをする部署に向きます。文章の作成やファイルの加工が中心なら、ほかの AI チャットと組み合わせて使うことが多くなります。
個人向けプランと法人向けプランの違い
データの扱い
個人向けプランと法人向けプランのいちばん大きな違いは、入力したデータの扱いです。法人向けプランは、既定で学習に使わないことが契約や公式ページで示されています。個人向けプランでは、設定によって学習に使われる場合があります。たとえば Claude の公式の料金ページでは、Free・Pro・Max の学習利用は「オプトアウト」、つまり本人が設定で止める方式と書かれています。Google も、個人のアカウントで使った場合はそれぞれのサービスの規約に従って扱われると説明しています。
管理とアカウントの持ち主
個人向けプランのアカウントは、契約した本人のものです。会社は、誰がどの AI に何を入力したかを把握できず、退職した人のアカウントを止めることもできません。法人向けプランなら、管理者がメンバーを追加・削除し、SSO で社内のアカウントとつなぎ、プランによっては監査ログで利用の記録を確認できます。
個人のアカウントでの業務利用(シャドー AI)
会社が使える環境を用意しないと、便利さを知った社員は個人のアカウントで生成 AI を使い始めます。これは「シャドー AI」と呼ばれます。業務の資料や顧客情報が、会社の把握していないサービスに送られるおそれがあります。利用を禁止するだけでは使われ続けることが多いため、法人向けプランを用意したうえで、何を入力してよいかのルールを決めておくことをおすすめします。
Samurai App という選択肢
Samurai App は、社内のナレッジやテーブルを読み、ブラウザやつないだ外部サービスを操作して仕事を進める AI エージェントです。入力は AI の学習に使われず、1 社に 1 テナントで、会社ごとに独立したデータベースにデータを保管します。
管理の面では、ロールはオーナー・管理者・マネージャー・メンバーの 4 つで、2 要素認証は全員に必須です。エージェントは頼んだ人の権限の範囲でしか動かず、機微な操作の前は承認カードを出して止まります。AI に送るファイルと文章は、送る前にブラウザの中で個人情報や秘密情報を確認します。操作は改ざんを検知できる監査ログに残り、2 年保管します。
使う AI モデルは入力欄で選べ、自社で用意したモデルの API キーを持ち込む(BYOK)こともできます。
シャドー AI への対策は、シャドー AI・情報漏えい対策のページで紹介しています。
よくある質問
ChatGPT の法人プランはいくらですか?
ChatGPT Business の Standard 席は、1 人あたり年払いで月額 $20、月払いで月額 $25 です。2 席から契約できます。利用量の多い人向けの Premium 席は年払いで月額 $100 です。ChatGPT Enterprise の料金は公開されておらず、問い合わせになります。
法人向けの生成 AI なら、入力した情報は学習に使われませんか?
この記事で取り上げた法人向けプランは、どれも既定で学習に使わないと公式に書かれています(Gemini Enterprise は今回の調査で確認できませんでした)。ただし、フィードバックとして送った内容の扱いや、データの保持期間はサービスごとに違います。契約前に各社のデータの取り扱いのページを確認してください。
無料プランを業務で使ってもいいですか?
個人向けの無料プランは、設定によって入力が学習に使われる場合があり、会社がアカウントを管理することもできません。社内の情報を扱うなら、法人向けプランを用意するほうが安全です。Microsoft 365 の対象プランを使っているなら、追加費用の無い Copilot Chat から始める方法もあります。
複数の生成 AI を併用してもいいですか?
併用している会社もあります。たとえば、グループウェアの中では Microsoft 365 Copilot や Gemini を使い、長文の作成や調べものには別の AI を使う、といった分け方です。ただし、契約が増えるほど費用と管理の手間も増えます。どの業務にどのツールを使うかを決め、使われていないアカウントは定期的に見直してください。
出典
- ChatGPT Business 料金
- ChatGPT Business の概要(ヘルプ)
- OpenAI のビジネスデータの扱い
- Claude 料金
- Google Workspace 料金
- Google Workspace の生成 AI に関するプライバシー ハブ
- Gemini Enterprise Business エディション
- Microsoft 365 Copilot 料金
- Perplexity Enterprise の料金と請求(ヘルプ)
料金と仕様は 2026 年 10 月 20 日時点で各社の公式サイトで確認したものです。最新の情報は各社のサイトでご確認ください。